ストレスとストレッサーについて
今回は基本となる狭い意味でのストレスについて説明をしてみます。
動物実験から始まったストレス研究では様々な不快な刺激をストレッサーと呼び心身(体内・脳内)に発生した負荷により自律機能(自律神経系・内分泌系・免疫系など)に不調和(歪み)が生じることをストレスと呼びました。
自然界では不快な刺激があったときにはそれを取り除くために闘うか逃げるかで対応しますが、そのときには普段より強力な力が出ますのでストレス反応は生存に役立つものです。
しかし動物を拘束して不快なストレッサーをかけ続けると、そのストレス反応は活用されることなくエネルギーが浪費されて最終的には抵抗力がなくなり死に至ることが発見されました。
また人間の場合には不快な刺激の中に物理的、化学的なものだけでなく心理社会的ストレッサーがあるとされました。
つまり社会生活の中で集団内での関わりや他者との交流が不満や不快感を与え続ける場合にストレッサーになって闘うか逃げるかのストレス反応が起きているというのです。
筋肉の緊張が高まり呼吸数、心拍数、血圧も上昇しているのに社会生活のルールがありますから動物のように実際に相手と闘ったりその場から逃げたりすることは許されません。
このままでは拘束された動物のように人間もストレスで死に至ることがありえます。(キラーストレス)
そうでなくても、心身の病気、事故、能率低下、人間関係の悪化、幸福感の低下など様々なトラブルに襲われることになります。
そこで心理社会的なストレッサーに対応した思考、行動、人間関係の対処法(ストレスコーピング)や蓄積したストレスを軽減させる方法(生理学的リラクセーション)に取り組むことになります。
ストレス蓄積を測定し環境を望ましい状況に調整してストレス対処に取り組み、リラクセーション法によってストレス解消をすることはストレスマネジメントの基本とされました。
しかし広義のストレスケアであるライフストレスケアでは、そのように心理社会的ストレッサーを避けるという観点でとらえるのは問題だと考えています。
本来私たちは自分らしいライフ(生命・生活・人生)を創造していくために積極的に人間関係をつくり社会参加をしていく存在です。
そのように前向きに生きる者には思い通りにならないこともありストレスとなりますが、それは生きるうえで当たり前のことです。
むしろそのストレスによって生き方の偏りを見直したり、自分に不足しているスキルに気づけます。
ここからストレスをサインにしてどのように生きるかという人間学が誕生するのです。