ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

遺伝子的傾向と文化的ミームの軋轢

自然ー身体ー感性ー感情ー意志ー思考ー信念ー言説ー集団ー社会 人間が生物としてもっている傾向、進化の中で獲得した生得的な傾向、人間特有のバイアスのなかには、生物的起源、つまり遺伝子的に埋め込まれているもの。 社会の中で文化的に受け継いできた「…

自然と「自己」と社会の軋み

自然ー身体ー感性ー感情ー意志ー思考ー信念ー言説ー集団ー社会 この連なりが人間だというモデルを検討してきたところだ。 私たちは、この中から個人のパーソナリティとして「感情ー意志ー思考」を切り取って、それが自分だと認識して暮らしている。 しかし、…

人間の連なりと「人間観」

自然ー身体ー感情ー意志ー思考ー信念ー言説ー集団ー社会 この連なりが人間であると書いたが、それも理解のための仮説的概念である。 このモデルは、個人心理や個人のパーソナリティが自分だとする現代の考え方では見えないものを把握するためのツールにすぎ…

様々な階層でのコミュニケーション

自分 ⇔ 相手 階層別のコミュニケーションの視点 ・・・・・・・ �@ 自然 ⇔ 自然 ・・・「調和」 自律神経、ホルモン、免疫、姿勢(筋バランス)⇔ 「リズム」「気」「バランス」・・・自然が与えてくれるものを人間から受け取る �A 身体 ⇔ 身体 ・・・ 「筋緊…

人間の連なりとコミュニケーション

自然ー身体ー感情ー意志ー思考ー信念ー言説ー集団ー社会 この連なりが人間だとするとコミュニケーションとは何を意味するのか。 一般的には「感情ー意志ー思考」が自分だと考えられているので、相手との感情的交流、思考のやり取り、そして意志の伝達と調整…

人間のモデルと「無意識」

自然ー身体ー感情ー意志ー思考ー信念ー言説ー集団ー社会 もし、上記の連なりが人間だとすると、子どもを育てるということがどういう意味になるのか。 現在の家族と子どもの関わりのなかで、どの部分が育って、どの部分に歪みが出ているのか。 自然性と身体か…

家族問題と人間のモデル

これまで検討してきた理論的な道具立てが臨床経験に使えるのか。家族問題を例にして考えてみたい。 家族問題といっても、夫婦問題、親子問題、兄弟姉妹問題、嫁姑問題などメンバーどうしの関係性に分解して取り組むこともあれば、家族全体の問題、あるいは特…

ポジティブ心理学と集団的自己

最近のポジティブ心理学では、ネガティブ感情とポジティブ感情の関係を「拡張形成理論」で説明している。 このポジティブ感情とネガティブ感情を比較したときに、前者が後者より高いことが、健康、成功、質の高い人生に関係しているという。3:1という比率…

AI(人工知能)と集団的自己

個人的自己を前提とした集団形成は、個性の尊重とか多様性を認めるという意味では妥当であるかに思える。 しかし実際にどのような信念体系で集団を形成すればよいかとなると、個人の自己管理・自己成長に求めることにつながる。 AI(人工知能)が人間の仕事…

アイデンティティと集団的自己

アイデンティティと「集団的自己」の関係を探る必要があると書いた。 以下の引用文章を読んでもらうとアイデンティティについて、次のことが明らかになる。 「社会的価値やイデオロギーに自分の能力を捧げたりする事の出来る性質」(忠誠性)を確立するため…

不登校・ひきこもりと集団的自己

集団的自己と個性的自己の関係としてメンタルヘルスの問題を説明してきているが、すべてを「集団的自己」として説明するほうが実体に迫れると考えるようになった。 近代的自我の精神は、個の独立をもたらし、市場経済を成立させて、人権の確立、個性の尊重、…

集団的自己から考える

個性的自己と集団的自己の対立としてメンタルヘルスの課題を記述してきた。 たとえば、不登校、いじめ、出社拒否、ひきこもり、発達にまつわるトラブルといった出来事についても、個人のパーソナリティの問題ではなくて、個性的自己としての「信念・思考行動…

言葉による教育と感情問題

家庭としての集団的信念を持ちにくい現代において、親が理念的な言葉による教育で子どもの信念を形成しようとすることに問題があると書いた。 家庭で親が子どもと共同作業でつくっていく生き方を支えるための信念・思考行動パターンは、教師のように知的に「…

集団的自己と個性的自己

信念・思考行動パターンの流動性は「集団的自己」として、固着性は「個性的自己」として扱えると書いてきた。 そして「個性的自己」は「信念・思考行動パターン」を自分だと考えて保存して、それを変えようとする他者や集団の圧力に抵抗するものだと書いた。…

信念・思考行動パターンの固着性と流動性

念・思考行動パターンの固着性・流動性の問題について書いてきた。 これは「集団的自己」と「個性化した自己」との関係でもある。 流動性の極致は「集団」のなかで、信念や思考・行動が一方に誘導されていく問題である。 戦争に突き進んでいったとき、なぜ止…

愛情不足論を超えて

信念・思考行動パターンの柔軟性を取り戻すために、種々のトラブルが起きていると書いた。 集団に即応した信念等を身につけていくには、自分とは「信念・思考行動パターン」であるという自己保存的執着から離れないと難しい。 仮にこの固着性が子ども時代に…

集団性の根差さない言葉の教育

生き辛さの問題や環境不適応にまつわるトラブルは、信念・思考行動パターンの固定性(柔軟性の不足)にあると書いた。 しかし逆に、信念・思考行動パターンの一貫性のなさ(固定性の不足)もまた人生上、信頼を得て、価値あるものを創造しようとすることを阻…

家庭教育と柔軟性

パーソナリティー論・発達理論は、心理学者の努力で社会の中に浸透した。 功績としては、個の自覚を強めることになり、今日の社会の多様性を認める方向につながっているのだろう。 そして、個の自覚は経済合理的判断と相まって、労働・消費を通じて「市場経…

人間という連なり

「自然ー身体ー感情ー思考ー信念ー集団ー社会」という連なりが「人間」存在である。 両端をみてもらうと、外に開けていることに気づく。 この連なりの特定の「部分」(たとえば、身体ー感情ー思考ー信念」を自分だとしたら、その残りが「自分以外」になるが…

人間の欲求の集団的視点

このところ書いてきたことだが、やはり強調しておきたい。 個人の身体があって並行して、個人の心があるという前提がメンタルヘルスについて考察する場合には集団的視点を阻害するという意味で邪魔になっている。 人間の内発的な動機として、感性動機、新奇…

メンタルヘルスコンサルタントの役割

メンタルヘルスコンサルタントの活動で重要なのは、クライアントとのやり取りの中で、新しい「思考方法や信念の構築、行動化、他者や集団との関わり方」を生み出していくことだ。 カウンセリングやコーチングはクライアントが持っているものを引き出すことを…

子育てと社員教育の偏り

現代人の問題意識は「個人が集団から圧迫されている」ということだが、だとすると「圧迫に負けない自分」をつくることが対策になる。 しかし実は「個人が調和的な集団を形成する力を失っている」のが問題だとすると、「集団を形成する力、他者と調和する力」…

自分と相手を分けない

出来事を前にして、それを受け止めて、次の行動を選択していく場合に、それが自分から出たものか、対象から誘われたものかを気にする人もいる。 それは「自分」と「対象」を分けて考えたので、そのような問いが生まれてしまう。 本当に自分で考えて自分で決…

家族内の人間関係の苦悩

認知症の親とかかわっていくご苦労や、聞き分けのない乳幼児を育てていく親の苦労などご本人でないと分からないところがあるだろう。 いくら言っても一緒だからとか、受けとめていくしかないとか、相手に合わせるしかないとかアドバイスを受けても、どうして…

メンタルヘルスコンサルティングのツール

メンタルヘルスコンサルティングを進めていくための「道具立て」がそろってきました。 �@人間観・世界観の整理 �A社会で言説として構成されている「信念」体系 �B「思考」の特徴と限界・・・正しさの限界 �C「感情」の特徴と限界・・・ 集団性との関係 �D「…

相互関係としての援助

クライアントが自分のおかれている状況やそれに対する感情や考えをうまく言語化できない場合を考えてみよう。 幼い子どもだけでなく、成人であってもそのような事は起きる。 それを無理に言語化しようとするのは、コンサルタントが自分のもっている技法や、…