ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ライフ創造の柔軟性とストレス解消

メンタルヘルスコンサルティングと心の柔軟性についての記事を書いた。 ライフ創造について、以前は必要であった見方、視点、考え方が、今は不必要になっている場合に、それを解除していく。 今のライフ創造において無自覚に始まっている見方、視点、考え方…

心の柔軟性と面談

心の柔軟性 メンタルヘルスコンサルタントとして企業団体の職員との面談をする機会も増えてきた。 同じ面談でもカウンセリングやコーチングとの違いがあると感じている。 以前はストレスケア・カウンセリング、健康カウンセリングも行っていたが、それも通常…

不信感と個人的・集団的自我作用

生きた集団の特徴を既にまとめて記事にしてみたが、そうでない集団がなぜ生まれるのか。 �@ 集団を特定の個人が私物化する。 �A 集団にふさわしくないもの、やっていけないものを変えていこうとしてうまくいかないと排除する。 �B 特定の目的のために集団を…

視点の切り替え

人間の行動を説明するときに、ホメオスタシスや内発的動機に基づくものは「個人的視点」が説明しやすい。 「外発的動機」とされている「親和動機」「承認動機」「達成動機」はそもそも社会的なものであって、それを個人的視点だけで説明しているところに無理…

現代社会とライフストレス研究

ライフストレス研究の基礎 �@ 目の前の出来事を実在だと扱う。 �A その実在をどのような見方(人間観・世界観)で解釈するかを「選択」することができる。 �B 出来事そのものの全体を語ることはできない。様々な見方で説明するしかない。 �C その時代や社会…

人の目を気にすること

「人からどう思われるかを気にしすぎる」といって悩んでいる人が多い。 そういう人に対して「自分がどうしたいか大事だ」から人からどう思われてもよいと思って行動に移すようにとアドバイスする人がいる。 それができないから苦労しているのに。 そのアドバ…

問題解決とゴールの設定

メンタルヘルスコンサルタントの視点 支援で大切なのは問題発生の構図をどのようにとらえるかということと、問題解決のゴールをどこに設定するかである。 実はメンタルヘルスの問題は、人間観・世界観の制約によって、どのような状態になることを目指してい…

個人的視点と集団的視点

メンタルヘルスコンサルタントの面談法 �A 人間観・世界観をシフトさせて出来事を見ることが大事だと既に書いた。 次に考えないといけないことは、「個人心理・自我・パーソナリティ」という見方と「集団心理・共通する信念・価値観・システム」という見方を…

面談技術の向上

メンタルヘルスコンサルタントの面談技術の向上について カウンセリングやコーチングの要素を含みながらもライフストレス研究を踏まえた、新しいメンタルヘルスの面談法について整理しているところだ。 �@ 目の前の「出来事」を受け止める際に、無自覚に「人…

社会制度の背後の精神性

人間は集団としての協力体制によって生存をはかる生きものだから、そこには制度・仕組みという形と、その背後の精神的な価値観が一体となっている。 時代の変遷により集団的生存の仕組みが変わるとともに、背後の精神性もまた変わっていく。 資本主義の勃興…

社会で共有する価値観

社会の中に人間を幸福にする価値を埋め込む取り組み 以前は「価値観」に関することを話すと、それは個人の自由であって、また科学的ではないと扱われていた。 もちろん宗教団体の場合には社会の価値観を育てるのではなくて団体に縁を結んでもらうための布教…

価値観をなくした社会

新聞で高齢者のごみ捨てについて地域でサポートすれば補助金が出るような仕組みが紹介されていた。 健康面が医療保険制度で維持されていたが、介護保険制度によって福祉サービスとして介護が外部化されてきている。 (完全に外部化できずに、機能低下した「…

【社会で共有されたライフスタイル】

個人心理的人間観で、自分の動機や欲求で行動が生まれると考えているのが現代である。 しかし見たことも思い浮かべることもできないことを求めることはできない。 成長の過程で、「欲求(動機)⇒ 行動 ⇒目標物」という学習をしていることを忘れてはいけない…

無償の愛と家族の結びつき

無償の愛と「家族」の結びつき かつて家族は生きるためのシステムであって、そこではメンバーが一致協力して自分にできることで貢献しながら生産活動に従事してきた。 そこでの愛とは自己本位にならずに家族のために貢献することであって、それで全員が生存…

無償の愛と主体性(信頼・貢献)

無償の愛と「主体性のある信頼・貢献」の違い 現代社会では大人も「子ども化」しているらしい。 無償の愛を希求してやまない存在。 職場では上司にも、部下にも、家庭っでは、パートナーにも、親にも、子にも、それぞれが相手に「やさしさ」を求めている時代…

受容の拡大と集団性

出来事の受容について書いてきているが、自分の体験は「必然」「必要」「最良」のものだという。 そして、その受容の範囲を拡大していくことが大切だ。 自分なりに受容した体験に他者が思わぬ方法で介入してきたときに、その他者の態度も含めて「出来事」だ…

感情問題と利他傾向

感情問題と利他傾向 家庭問題について複雑なモデルで説明する人もいるが、本質を見つめてみると「感情」の問題に帰結するようだ。 職場のトラブルも表の対立よりも裏面の感情の問題のほうが重要である。 もちろん、自己保存的な感情問題については誰しも敏感…

援助にかかわる受容

ストレスフルな出来事を前にして受容をすすめて、具体的な行動を選択している限り主体性が失われることもなく一定の耐性を維持できる。 しかし人間には生得的に仲間と集団で困難に向き合って乗り切りたいという傾向があるので、自立心を維持して冷静な取り組…

セルフコントロールと自己受容

セルフコントロールとして説明すると、自分の「感情」の動きと「考え」の展開に注意することだと思う。 目の前の「出来事」をありのままに受け止めようとする態度が重要である。 それに失敗したときに、不快な感情が生まれ、その感情に引きずられるように「…

感情の渦と自己受容

最近の面談に、このところ考察してきたことが顔を出してくるようになってきた。 人間の生得的な集団性に関する傾向・感情・行動パターンをふまえて、相談者の語る出来事を聴いているようだ。 分析的な個人心理を想定するのではなくて、集団のなかで、どのよ…

共有時間と自然の流れ

共有時間でつくった計画が自然の流れによって破綻すると、すぐに希望的観測、願望によって、この計画が復旧されるのではないかと思う。 共有した計画のせいで、目の前のありのままの出来事を受け止めることが出来ない。 だから、それを踏まえた主体的な行動…

計画とネガティブ心理

人間の共有時間ですりあわせた計画や都合が、自然の流れのなかで破れるのがストレスの発生につながる。 計画や都合は自分や他者の様々な状況を想定して作られる。 だから、計画に執着すれば他者の状況まで自分の悩みにしてしまう。 自分が他者の背負う課題ま…

4区分の人間観

個人心理的人間観でも、自分視点と相手視点があり、仮に相手視点を集団心理的人間観と呼んできた。 個別世界的人間観でも、自分主人公である視点と、相手が主人公である視点がある。 つまり、この4つの区分の切り替えの問題として、ライフストレス研究をまと…

自己と集団の矛盾とストレス

生得的な自己防衛機能としてのストレス反応が現代社会の環境にマッチしないタイミングで現れることが問題だと指摘してきたが、これは不十分な分析であったと反省している。 心理社会的ストレッサーとして説明されているものは、実は自己防衛的行動選択と集団…

ビッグ5の性格特性と集団性

ビッグ5といわれる性格特性は、外向性、神経質、誠実性、調和性、開放性である。 これらを脳科学的な視点からの個人差として研究もされているが、それは説明の言い換えに過ぎない。 試みにこの特性を個人保存的に有利なものと、集団保存的に有利なものに分け…

直線的時間の再考

【直線的時間の再考】 このところ「時間」のことを書いている。 過去から未来へと矢印のように進んでいく、社会で共有された時間感覚とは別に、もっと体感的で豊かな時間を見つけていこうとしている。 時間が成立するためには、その世界の部分が独立して動い…

出来事と時間

出来事と時間 日常的な暮らしは「個人心理的人間観」によって時間・空間が出現して、そこでの行動と認知という形で営まれているようにみえる。 しかし複雑な社会生活を送るうえで共有する時間のなかで、タイミングをすりあわせて、先の出来事を成立させよう…

実践性と世界観

これまで人生問題へのアプローチとして、様々な分野に分かれてしまった科学や学問を統合することで対応できるのではないかと模索したときがあった。 統合の難しさと、その労力がそのまま実践性につながらないと知った。 さらには、人生問題では実証できない…

時間と人間観

【時間と人間観(世界観)】 複雑な社会で集団として協調して暮らすためには「時間」が重要である。時間がずれていると約束ひとつ果たせない。 また、時間が出現するには、人や物が分断されて個別化している必要がある。 その個別化したものが、ある距離を特…

感情と理性の調和への支援

人間が生得的に有している「自己保存(自立・利己的)」「集団保存(協調・利他的)」の二つの傾向が出来事にうまく適用できていないことが人間関係の諸問題を起こしていると書いた。 この生得的な傾向は「感情」と「身体の反応」として表出されるので、冷静…