ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

出来事と時間

出来事と時間

日常的な暮らしは「個人心理的人間観」によって時間・空間が出現して、そこでの行動と認知という形で営まれているようにみえる。

しかし複雑な社会生活を送るうえで共有する時間のなかで、タイミングをすりあわせて、先の出来事を成立させようとするとき、個人心理的人間観の限界が現れる。

個別世界的人間観に移行して、そこで記憶・観察・予測という形でスト−リーをつくる。

そして、その成果をふまえて、なすべきことに落とし込むことで、行動化して目の前の出来事を生成していく。

そこでは、先の他者や環境の予測は固定されていて、観念的に扱われている。

そこで、また個人心理的人間観に戻って出来事に向き合っていくなかで、微調整をしていくために「個別世界的人間観」に入っては出るということを繰り返す。

これを日常用語でいうと、考えながら行動して、また考えるという連続になる。

それを無自覚に、連続した過去から未来への時間の流れとして認識することで、色濃く観念がまとわりつくし、目の前の出来事から遊離することになる。

これは他者の心についての考察にも同様の図式がある。「他者の個別世界」を推測するという意味で、観念化が時間の流れにまぎれこんでくる。

だから、どうだということはないが、目の前のリアルな出来事から離れてしまうメカニズムの一端について書いてみた。