ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

個人的視点と集団的視点

メンタルヘルスコンサルタントの面談法 �A

人間観・世界観をシフトさせて出来事を見ることが大事だと既に書いた。

次に考えないといけないことは、「個人心理・自我・パーソナリティ」という見方と「集団心理・共通する信念・価値観・システム」という見方をつなぐこと。

この両者は、一長一短の特徴があるが、コンサルティングにおいて重要なテーマになる。

個人からみれば「人間関係」の問題にみえて、集団としてみればシステムや共通の信念・価値観の問題にみえる。

よく人間関係の問題で職場をやめようとするときに、「どこに行っても人間関係の問題はある。ここで頑張れないようではどこでも難しい。」などの言葉で退職をとどめようとする人がいる。

この人は個人心理的立場にたって、人間関係のトラブルはその方の人格上の力不足として考えている。

しかし集団的視点に立てば、集団内のコミュニケーション、情緒的交流、働きやすくするためのルールの徹底、リーダーシップの在り方、集団の目標設定と行動プラン、秩序ある価値体系、努力に見合った評価、成長促進のチャンス・・

集団の性質は大きく異なり、「どこにいっても同じ」というわけではない。

むしろ、現代では、従来は個人の資質とされてきた問題が実は集団がもっている歪みであることも明らかになってきており、同じ部署で退職が連続している事例など珍しくはない。

もちろん、業務の質や量が適切なのか、上司や周囲の支援体制があるのか、福利厚生、時間外勤務、休暇の問題などが、離職と関係があると思われているが、実はそれ以上に「人間関係」の問題がクローズアップされている。

この議論でかけているのは、集団の制度的な問題ではなくて、集団の心理的側面、制度を裏打ちしている精神性、職場のメンバーがお互いに抱いている共有された信念などへの配慮である。

メンタルヘルスコンサルタントの面談では、主要テーマとなることだ。