相互関係としての援助
クライアントが自分のおかれている状況やそれに対する感情や考えをうまく言語化できない場合を考えてみよう。
幼い子どもだけでなく、成人であってもそのような事は起きる。
それを無理に言語化しようとするのは、コンサルタントが自分のもっている技法や、やり方を使おうとするからであって、そのための焦りがある。
物事が熟していくには、時をかけて待つ必要がある。
混乱している時期、混沌として複雑で何も分からない時期では、それがすなわち、その方の体験している世界であるのだから、そのまま受け止めるしかない。
その方は辻褄のあわない、説得力がない、混乱したような話をすることで、みごとに、自分が体験している世界を表現されているのだ。
そしてそれがライフそのものでもある。
むしろ、コンサルタントが特定の考え方に固定されているので、クライアントとの面談がうまく進まない。クライアントの側には問題はない。
世の中に流布して日常で交わされている言説が出来事をつくっているのだから、私たちはこの言説によって悩みやストレスを生み出している。
コンサルタントは、面談がうまくいかないときに、自分の側を振り返って、自分はどのような言説にしがみついているのだろうかと考えて、そこから離脱するように努力することだ。
それによって面談に新鮮な空気のようなものが入ってきて、クライアントもまた自分を苦しめている言説から抜け出すことが可能になる。
言語化できない状況は、実は何かの言説が創り出している場合がある。
援助とは一方的なものではなくて、相互作用である。自分自身が自由になることなくして、相手を自由にすることはできない。