ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

願望世界と苦悩

あなたに見えている、聞こえている、感じている世界。

それは、あなたの望んでいる「願望世界」なのだと言われたら、多くの人はそんなはずはない。

こんな世界は望んでいないと反論されるでしょう。

しかし、それぞれの人は自分が構成した「願望世界」に暮らしているのです。

正義が全うされることを望んでいる人の世界では、周囲の人との争いをさけて、物事の正邪をあいまいにしている人が不愉快です。

その反面、皆が仲良く暮らす世界を望んでいる人の世界では、自分の正しさを貫いてもめ事を起こす人が不愉快です。

礼儀が全うされる世界を望んでいる人は、礼儀知らずの人が不愉快です。

でも、形より気持ちが大切にされる世界を望んでいる人は、礼儀にこだわった堅苦しい人が不愉快です。

つまり、それぞれが願望世界に住んでいるがゆえに、その世界を脅かす異物として、不愉快なものが出現するのです。

このことは対人関係に限りません。私たちの世界には現実には、病、老、死がありますが、それを見ないようにして、健康で長寿を望む世界にあっては、それらは苦悩になります。

釈迦は、このような苦悩が、自分が執着しているもの、願望世界が生み出していること、そして、それは事実とことなる妄念であり、無知なことだと喝破したのです。

このようなことを知ったからといって、真実の世界を悟っていない私たちには、自分に見えている世界が変わるわけでもありません。

ただ、不快な出来事や相手の受け止め方が少し変わるのではないかと思うのです。

そこから、始めてみましょう。