ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

現在という意識と夢想

目の前の相手がどのような人であるのか。

古い共同体のなかでは、祖父母や親の代からの関わりのなかで、その人間の幼少期から今日までを知っているという前提で、相手のことを理解している。

これに対して、都市においては、隣の人とでも日常の関わりは少なく、ましてや、出会いの場では、相手の言動や態度から人柄を感じ取るしかない。

過去から現在、そして未来へと続く時間の流れ、しかも、その人を主人公として、人生の中でどのような登場人物とどのような関わり方をしたのか、それは問われていない。

現在という意識しかないからこそ、相手に願望や夢想を重ねることができる。

そして、実際にかかわっていくなかで実際のその人を知っていくことになり、幻滅してしまうこともある。

現代人の意識では、自分を取り囲んでいる相手をどのようにとらえるかは、自分のとらえ方次第というところもある。

また、自分もそのように相手から決めつけや願望で見られている場合がある。

むしろ、その人の背景を知ってしまうと夢想などできないだろう。

このような相手に対する決めつけや夢想が起きたときに、自分は相手の人生を何も知らないのだからという振り返りが必要なのではないか。