自分の広がり
自分とは何かという前提の違いが、社会の仕組み、世界のありよう、生き方、そして、小さくいうと、カウンセリングの在り方にもかかわっている。
人間とはなにものか、自分とは何ものか、それがそのまま、生き方や世界として表現されている。
だから、生き方や世界を変えるとは、自分という存在のシフトであると書いてきた。
健康、立場、職業、仲間、財力、そのような物質的な要素の集合が自分だとすると、それを取り戻す取り組みが自分を取り戻すことになる。
自分が内観によって得られる「心」というものであるのなら、その安定が自分の安定であり、その成長が自分の成長ということになる。
しかし、自分がもっと根源的には違ったものだとすれば、その回復こそが、重要であって、上記の要素は、結果として備わってくるものではないか。
本質を捕まえずに、結果としての殻のようなものを集めているのではないか。
これでもない、あれでもないと、本質を探しているつもりで、かりそめのものを集めているのではないか。
このような問いは、宗教的なものとされてきたが、今やライフストレス研究での重要なテーマだと考えざるを得なくなった。