ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

創造 愛 自己統合

自分という実体を定めて、それを守るという生き方から、「中心」としての生き方へとシフトすることが大切だと書いてきた。

自分とは主体性のことだと知ると本当の意味での「自由」に価値があることにもきづく。

出来事や対象者に向き合って、ワンパターンの反応しかできないのは、機械のように、物のように固定された姿であり、不自由そのものである。

自分で自分の言動を選べることが自由である。

関心、観察、理解、自信、自主、意味、信頼、貢献、希望という心を自由に働かせていく訓練を進めていきたい。

呼吸、筋肉、感覚、行動、言葉、食事、睡眠、運動、資源という身体にかかわるものを自由に働かせていきたい。

私たちが、それぞれの願望に基づいた「願望世界」に暮らしていると書いてきたが、それを前提とした言動を観察すると、そこには、これが自分だと信じたものを守っている自己保存的、防衛的な自我を観ることになる。

しかし、主体性を訓練して、この世界の背後にある不可知の世界、精神の故郷、存在の根源、大きな生命、大きな物語にこそ、自分があると自覚して、この世界にかかわっていくとき、この世界は別の姿を見せてくると書いてきた。

ある意味、それは新しい創造の場であり、他者との交感の場、つまり愛の場であり、中心である自分は全体と同じであることを自覚していく自己統合の場である。

この物質世界の一部として圧迫されて、自分を広げ守ろうとして軋轢のなかで苦しんでいたのが、その守ろうとした自分に実体はなく、むしろ、この世界を生み出しているのが自分であると知ったとき、自分がすべてであったと気づくことになる。

このような人間学的な知恵を日常生活のなかで実現していくことが大切である。