ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

「言い聞かせ」と主体性の発揮の違い

主体性の発揮ということを言うと、自分に対して、もっと自信を持てとか、意味があるとか、相手を信頼しようとか、希望があると「言い聞かせること」と混同する人が多い。

また、うつ状態などの人に医師が、症状を生み出している特定の癖になっている「言葉の癖、考え方の癖」を変えるように勧めることがある。

また、タイプAと言われる時間に追われる、成果主事の、行動的な、エネルギッシュな人が心臓疾患にかかりやすいことから、言動をタイプBと言われるものに変えていき、症状が改善する場合がある。

しかし、数年すると、元のタイプに戻ってしまうということも報告されている。

このような意識的修正、言い聞かせによる取り組みと、主体性を伸ばしていく取り組みの違いを理解してもらえるだろうか。

パイプ型の図で説明すると取り込み、安定化、働きかけのプロセスにおける、精神的、身体的な項目を充実させていくことが重要であって、症状軽減、不安の除去のために、特定の精神的、身体的項目の修正を言い聞かせで実施することとは異なる。

むしろ、その「無理」によって、主体性のどこに問題があるか、を発見することにはつながるのだから、言い聞かせや、無理な取り組みがうまくいかないということに価値があると考えている。

この生命の流れのなかにあって、たとえば、希望があるとか、意味があるとか、信頼できるとか、自信があるということは、関心のありか、観察のありよう、理解の仕方の結果でもあるといえる。

さらには、身体的な項目、呼吸、感覚、食事、筋肉、運動、睡眠があって、行動や言葉が生まれて、蓄積した資源の活用もできるようになる。

このような全体的な流れのなかでの実践を進めていくことだ。