ライフストレス研究所だより

長年の経験を活かしてライフストレスケアという次世代の人間学を紹介しています。

ライフに焦点をあてて

自分の出している「波長」つまり、態度、表情、言動などから、出会いたい人へのメッセージが染み出ているか。

あるいは、ホームページやブログ、SNSでの表現には、出会いたい人へ届くような、逆に、対象ではない方にはフィルターをかけていくような工夫がなされているか。

さらには、出会いたい人に対して、自分が何ができるのか、できるように成長しているのか、それが明らかになるような表現手段が必要である。

�@特定の思想、思考法、世界観から抜け出して、日々のライフにむきあって、自分の選択を大切にして生きている人。

�A主体性、意志、考える力、実践する力をもっていて、体験から叡智を引き出そうと努力している人。

�Bライフにともなう負荷、ストレスを減らすことよりも、有意義な、納得のある、ストレスを選んでいこうとしている人。

�Cこのような方のライフに耳を傾け、気づきにつながる質問をして、一緒に、新しい選択ができるように支援するのが私の役目です。

では、このような仕事がなぜこれまで出現していなかったのか。

それは、本当に個人が自分で考えて生きるという時代がいまだ来ていなかったためであり、集団でさだめた選択マニュアルがあった時代からそれが崩壊していく時代に至ったからです。

つまり、大きな船で大海原を渡っていたのが、船がなくなって、それぞれが泳いでいる事態に至ったのです。

それゆえに、従来は、船のなかでいかに暮らせばよいかの答えがあり、それを学ぶことが生きることであったのが、いまだ、その答えにしがみついている人がおぼれていっているからです。

答えのない時代において、自分で問いと答えを生み出して進んでいく手伝いが新しい仕事なのです。

従来の心理療法、カウンセリング、コーチング、コンサルティング、セラピーは、所詮、この船のなかでの「船酔い」対策であり、船になじむため、船のなかで生きるための支援であったといえますから、船から降りたものにとっては、役に立たなくなったのです。

むしろ、あたらしい「いかだ」を自分でつくったり、海にもぐる潜水艦をつくったり、空に飛んだり、サーフィンをしたり、そのような自由な選択を支援する役割が必要なのだと考えます。

さらに、この役割を果たそうとする者は、船から降りて、自由である必要があります。

それぞれの方の選択に素直にむきあい、その選択について力と知恵を引き出していく手伝いをするのですから、矯正、教育とは違います。

これまでが「自分をいかに合わせるか」「道具的なものをいかに使うか」「他者とどのようにかかわるか」という「使用モード」であったのが、「創造モード」になり、世界観、思考法、方法もまた、新しく生み出すような方向性になるのです。

そして、私のような役割を仕事にしていく人は、増えていくでしょう。

つまり、だれを支援者にするかもまた「選択」になるからです。

これまでは、従属している集団が答えをくれました。これからは、自分で答えを出していきます。

それを集団に属している人に相談すると、ゆがめられ、船に乗せられるのです。

そのような個人の自由な選択を支援する職業が新しいのです。

私はそれを「ライフストレス相談」と呼んでいます。

従来のストレス相談は、集団に自分が合わないというテーマ。現実に自分が合わないとか。

今度のライフストレス相談は、自分なりのライフが生み出せていないというテーマになります。

前者が「適応」「発達」、こんどは、「創造」「選択」です。

前者は、変えられるのは自分だけという前提です。

後者は、自分を含むライフを変えていく、創造していく、選択していくという前提です。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このような整理をしたうえで、心理的な傷、メンタルヘルス、ストレスケアとは、どのような意味を持つのか。

それは、変えられるものがなくなって、過去も変わらない、現実も変わらない、世界は変わらない、行動も変えられない、というふうに「固定化」していったとき、それでも「心」は自由だと思う傾向があります。

そして、その心がまた固定化されて動かなくなっていったとき、心がやんだ、心に傷がある、ストレスで心を痛めたというふうにとらえます。

しかし、ライフは一体ですから、生命、生活、人生を創造せずに、所与のものとして、固定したのなら、ライフは、凍ったようなものです。そこに「心」をみつけたとしても、心だけ温かいはずもなく、凍っているのだと考えます。

それを心さえ、温かくなれば、ライフ全体が温かくなるというのは、不合理な話です。

ライフの創造によって、選択によって、ライフが温かくなれば、心も温かくなります。

集団性によって、本来、創造の対象である「ライフ」が固定されたものだと思い込まされると、その弊害として、心が不調だと錯覚するのだと考えます。

心が不調なのではなくて、ライフの創造がうまくいっていないのです。

負荷、ストレス、そして心の不調でさえ、原因ではなくて、ライフ創造の出来不出来による「結果」なのです。

結果である「心の不調」を原因だと考えて、対策を講じたきたのが、カウンセリングなどの歴史です。

認知や行動をかえて、ストレスを減らす、心を元気にすると言っていますが、それは錯覚です。

認知や行動の「選択」をかえることで、ライフの創造過程が変化して、その結果として、ストレス、負荷が減り、心が元気になったのです。