心理モデルを超えて
個人心理的人間観において、人間関係の相互性や集団のシステム性の見方をとることで、習慣化している行動選択の癖を知り変える必要があるならその方向性を見出すことに役立てられると書いてきた。
精神分析、交流分析、家族システム論など参考にしてみたいが、私が目指している健康な人のライフ創造に役立つかという視点からいうと、治療のための病理の研究成果だけでは偏るかもしれない。
そもそも、心理学的なアプローチの限界を超えるために、出来事・ライフ創造にかかわる、生理的・脳科学的人間観、個人心理的人間観、個別世界的人間観、主体的人間観を切り替えて、取り組もうとしたのだった。
それゆえに、「個人心理的人間観」は日常で通用している見方として扱いたいのであって、それを問題解決のために複雑化させたくはない。
むしろ、ここにおいて「矛盾」が発見できることに、ありのままの価値があると考えたい。
集団において個人の行動に特有のパターンがあるとか、特定の相手・場面について特有のパターンがあることは、出来事の見方の一つである。
たとえば、交流分析において人間関係がうまくいかないのは、お互いの自我状態の交流で説明しようとするが、同じことを「個別世界的人間観」では、お互いの世界が異なっていて、相手はそこでの登場人物であるという前提から説明することになる。
ということは、集団としての認知や行動傾向が固定化されているということは、自分の世界でも相手は仲間、相手の世界でも自分が仲間ということになる。しかも同じ規範や同調化が起きている。